新型コロナウィルス対応の政治学53~デジタル革命~

政府・与党は10月下旬に臨時国会を召集し会期は50日程度を予定しているということです。

仕事師内閣を標榜している菅政権として新機軸をアピールすることになります。

デジタル庁の発足はその目玉です。臨時国会中には基本方針を示して欲しいです。

自民党では岸田前政調会長の下で6月にデジタル田園都市国家構想をまとめています。

中心となったのはデジタル改革、IT担当大臣となった平井卓也さんです。

健康、教育、福祉、防災などあらゆる分野にデジタル革命を起こそうというものです。

平井大臣は菅内閣の閣僚として菅総理と争った岸田さんの政策を遂行することになります。

デジタル改革はこれからの日本のあり様を決定する重要な基盤ですので長期の目標であり続けます。

菅総理の次の総理もひかれたレールの上を走ります。将来の岸田政権の地ならし的要素も感じます。

最初の一歩が肝心です。デジタル分野に精通している平井大臣を充てた狙いもそこにあるはずです。

出足でつまづいてしまうと各省庁まんべんなくまたがっている課題ですので収拾つきません。

デジタル改革と無関係でいられる省庁はありません。地方自治体も同様です。

デジタル庁を創設してそこで全ての行政を取り仕切るとなると超巨大官庁が出現します。

事実上困難です。総合調整に徹するための権限を持つことで落ち着くのだと思います。

例えば教育分野のデジタル改革は新設したデジタル庁が仕切るとなったら文科省が黙っていません。

産業分野だったら経済産業省、防災分野だったら国土交通省、地方は総務省が物申すでしょう。

個別に調整していたら時間が足りません。スピードを売り物とする菅内閣に合いません。

菅総理を後ろ盾に強力な総合調整権限を背景に基本方針を決定し省庁ごとに指示するのでしょう。

但し国家の安全保障や治安にかかわる分野との調整をどうするのかという問題が残ります。

デジタル庁の基本方針策定までに総理が決断しなければならない重要ポイントです。

基本方針がまとまれば来年度予算に盛り込める内容は各省庁が盛り込みます。

デジタル庁が正式に発足した後は各省庁の改革の進行状況をチェックすることになります。

当面は何を優先課題とするのかを決めなければなりません。これも総理の決断が必要です。

コロナ対応で明らかになった日本の弱点をいち早くカバーすることを掲げると思います。

地方自治体も含めて行政のデジタル化の推進は喫緊の課題ですので急ぐと思います。

霞が関だけでなく地方自治体もデジタル分野はそれぞれバラバラに対応しているのが実情です。

このカオス状態を整理してばらばら状態を解消することは行政の効率化に役立ちます。

注意しなければならないのはデジタル革命を優先し監視国家になって良いかという視点です。

中国の現状を見ればイメージできます。デジタル革命の最前線にいますがプライバシーは守れません。

モデルにはなりえません。日本にあった形のデジタル革命を進めなければなりません。