新型コロナウィルス対応の政治学53~河野劇場~

菅政権で一躍寵児の地位に上り詰めたかに見えるのは河野太郎行革大臣です。

就任早々、記者会見のやり方をめぐり非合理だといちゃもんをつけました。

続いてハンコを止めろと宣言しました。サムライ感を振り撒き大衆の喝さいを浴びるパターンです。

前例にとらわれぬ歯に衣着せぬ発言は河野大臣のいわば得意技です。

安倍前総理大臣が辞任表明した直後には総裁選出馬への意欲を隠しませんでした。

国のトップに立つ自信があるのですから現在の発言ぶりは決して驚くには及びません。

菅総理大臣も破壊者のような発信力は仕事師内閣に必要だと判断しての起用だと思います。

菅内閣として目標として掲げているのは官僚の縦割り打破に象徴される前例を打ち破ることです。

河野大臣にはぶち壊す力を発揮してもらい混とんとした状況を現出してもらいたいのだと思います。

その後で菅総理大臣が隠然たる権力を背景に新たな体制を立ち上げようとしているのでしょう。

破壊と創造の組み合わせです。うまく機能すれば改革の車の両輪となりえます。

当然のことながら河野大臣の発信力が大きいことと比例して大きくつまづく危険性もあります。

他人の領分であることを考慮せずに言いたい放題になる可能性を常に抱えています。

きちんと事前に役割分担の意識が恐竜されていれば良いのですが政治は生き物でそうはいきません。

河野大臣の口が滑ることは日常茶飯事となる危険性は多分にあると思います。

そうなると攻撃の対象とされた側の大臣はカチンと来ます。これがほころびの源となります。

河野大臣は国と地方の役割分担の見直しと言い出しました。これは総務省のテリトリーです。

河野大臣の任務を明確化しないと閣内でぎくしゃくが始まることは確実だと思います。

河野大臣は北海道と沖縄の担当大臣ですからこの限定で国と地方の役割分担の見直しを図るべきです。

北海道と沖縄の国と地方の関係を大胆に見直しすることは国家的な課題です。

既に述べたことではありますが北海道はロシア、沖縄は中国と向き合っているのですから。

もうひとつ河野大臣には内閣にとって致命的な爆弾を抱えていることを忘れてはなりません。

原子力発電をめぐる諸問題です。河野大臣は脱原発が持論であることは言うまでもありません。

内閣に登用されてからはこの持論を封印することで地位を得ていると言っても良いです。

政府の方針と異なる思考を持っているのですから表に出さないで地位を守る選択をしたのでしょう。

このごまかしが通用するかです。行革大臣となった今原子力行政を問い直さないのはおかしいです。

巨額な税金を投入しながらも原子力の核燃料サイクルは実現のめどが立ってません。

行革から考えてこの現状を放置することは理屈に合いません。大胆にメスを入れるべきです。

立憲民主党も野党第一党として存在意義をかけて追及することになると思います。

河野大臣が沈黙したとしたらこれは二枚舌です。厳しい批判にさらされるでしょう。