愛国と戦後民主主義の対立を超えて

NHKの朝の連続テレビドラマ「エール」、ほぼ欠かさず見ています。

今は日中戦争、太平洋戦争の真っただ中です。日本の危機の時代を描いてます。

作曲家の古関裕而さんが作った「若鷲の歌」の誕生秘話が今週のテーマです。

古関さん自身予科練に体験入隊しその時の印象をメロディーにしたといわれます。

若い血潮の 予科練の七つボタンは 桜に錨今日も飛ぶ飛ぶ 霞ヶ浦にゃ…

毎年正月に大先輩方とカラオケ会があります。戦時歌謡が大好きな方が必ず歌います。

予科練の正式名称は、海軍飛行予科練習生です。大変な難関だったということです。

10代の青年たちが志願しました。今で言えば高校生から大学生の年代です。

ドラマでも前途有為の青年が合格し古関裕而に報告に来る姿が描かれていました。

戦局は厳しくなる一方で青年たちの前途には死が迫っていました。

それでも国のために敵機を落として見せると言い切る姿には神々しさを感じます。

戦争で死ぬために生まれてきた世代が直面した厳しい運命を象徴していました。

私がこうしたシーンを見るたびに涙するのには訳があります。父との関係があります。

帝国陸軍の軍人だった父は中国の旧満州の国境地帯でソビエト軍と激戦を戦いました。

私が子供の頃から幾度となく戦闘の模様と若い将兵たちの勇猛さを語ってました。

「戦争で死ぬために生まれてきた連中だから弔ってあげなければならない」が口癖でした。

1984年に父が死去した後、父の思いを受け止めて慰霊塔を菩提寺に建立しました。

こうした経緯があるので若い戦士たちを見ると涙が出てしまいます。

同情の涙ではなく、いざという時には国家のために身を捨てる高潔さに涙するのです。

吉田松陰が言うところの「止むに止まれぬ大和魂」的な心象に深く共感します。

日本国無くして自分はあり得ないという心情は一貫して保持し続けています。

ふるさとのためにも身を捨てて行動することに強いこだわりを持ってます。

私の心情の核心的部分は相当の程度、俗にいうところの右翼的です。

教育勅語が語っている「一旦緩急あれば義勇公に奉じ」的信条の持ち主です。

しかし、一方で戦後の民主主義教育の中で育ちました。その価値も十分わかってます。

国権が前面に出過ぎて日本はどん底に突き落とされた歴史を知ってます。

愛国的心情と人権尊重などの戦後民主主義の原則とのバランスに悩んできました。

「エール」で若き戦士の純粋さに涙が止まらない自分が確かにいます。

その一方で国権重視で前途有為な多くの若者を戦地で死なせてしまった歴史も学びました。

日本は今、少子高齢化、人口減少で国家の衰退局面に入ってしまいました。

そこに新型コロナの襲来です。深刻な経済危機が続く雲行きです。

中国の台頭による国際情勢の激変にもさらされ、容易ならざる状況です。

教育勅語の「一旦緩急あれば」の状況に近いと思えてなりません。

戦後民主主義の原則を大切にし身を捨てて国難に向かう道を探る時期が来たと思います。