続々々・愛国と戦後民主主義の対立を超えて

菅総理の日本学術会議会員の任命拒否のショックが大き過ぎて本題に入れないでいました。

このシリーズで私が問題提起したかったのは愛国派、保守派の日本国憲法軽視ではありません。

戦後民主主義を大切にする護憲派、民主派の国家意識、公的意識不足についてでした。

愛国派、保守派は護憲派、民主派は、個人の権利ばかり主張して国家を軽く見ていると攻撃します。

悲惨極まりない戦争体験を経て基本的人権が日本国憲法で確立されました。

時代を逆もどりさせないとの強い意識が背景にあって個人の権利の主張が強まったと見ます。

その結果、愛国派、保守派が主張する状況が生まれている側面は否定できません。

護憲派、民主派は、国家の防衛とか安全保障とかいった問題に対する発信が弱いです。

憲法9条を高く評価しその存在があれば平和は守れるという錯覚があったと思います。

政府や自治体の方針に住民運動などで異議申し立てがあると運動側に寄りがちでした。

この結果、夢想的な平和主義がまん延したり抵抗すること自体が善だとの誤解が生まれました。

護憲派、民主派の弱点だと私は思います。この弱点を克服することが求められてます。

憲法9条があっても中国やロシア、北朝鮮は何ら意義を感じていないでしょう。

自国の防衛にとって損か得かという視点からしか見ていないはずです。

住民運動が政府や自治体の大規模開発の問題点を鋭くえぐったことは事実です。

しかし開発したことによって日本の経済が発展する基盤を用意したことも事実です。

安保・防衛問題も大規模開発に代表される内政問題もリアルな視点が不可欠です。

安保・外交問題では中国の台頭と中国の覇権主義的傾向の強まりが重大問題となってます。

護憲派、民主派にとってこれまでの認識を大きく転換させて現実的な視点を養うチャンスです。

尖閣問題は、護憲派、民主派が問題とする集団的自衛権の問題ではありません。

日本の領土ですので日本の自衛権の行使の対象です。その上で在日米軍との連携があります。

護憲派、民主派としての防衛策の提示が実は求められているのです。

政治的自由や基本的人権を守ることを主張してきた強みも大いに活かすべきです。

香港の民衆の政治的自由や人権を支援する行動は護憲派、民主派こそ主体となるべきです。

台湾は、愛国派、保守派との関係ばかり強調されます。護憲派、民主派の動きが弱いからです。

中国に対し敢然と抵抗し民主主義の堅持を掲げる台湾ともっと密な関係を創るべきです。

大規模開発は全て悪という発想に凝り固まっていては国際競争から完全に取り残されます。

残念なことですが取り返しのつかないほどの格差が広がってしまいました。

日本全国各地がまんべんなく開発されているという日本のメリットを活かすしかありません。

護憲派、民主派の方からも地域開発に反対するだけでなく新たな提案が求められているのです。

私は護憲派、民主派の覚醒を期待します。行き詰った日本を救う働き頭になると思うからです。