『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

今年のゴールデンウィークは、緊急事態宣言が出ていてステイホームの日々でした。

投稿サイトのフェイスブックで行われていたブックカバーチャレンジを友人から紹介されました。

1週間連続でこれはという本のタイトルを紹介して次の人にバトンタッチをするというものです。

内容の紹介は自由とのことでしたが私はなぜ選んだか書き込みながら続けました。

全部で100回で区切りとしました。私自身の読書遍歴を振り返ることができました。

私のメインテーマは、なぜこのように生を受けたか何のために生きているかということです。

生と死と言って良いです。それが究極の姿として目の前に現れるのが戦争です。

私は、帝国陸軍の軍人を父に持ちました。普通の家庭とはずいぶん異なった教育を受けました。

父は、先の大戦の最終盤、旧満州国へ侵攻したソビエト軍と激闘を経てシベリア抑留されました。

5年近くの抑留生活の後帰国してからできた私にしつこいぐらいに戦争の話をしました。

「戦争で死ぬために生まれた世代」がキーワードでした。若い戦士たちの勇猛ぶりを聞かされました。

圧倒的戦力を誇るソビエト軍の最新鋭戦車の車体の下に潜り込み爆弾を仕掛けて立ち往生させます。

戦車が動かなくなって外に出てきた敵と白兵戦を行うという事実上の特攻作戦でした。

一方で若い戦士たちの多くを失ったことを悔いてもいました。平和がいちばんだと。

国のために自らの命を捨てて敢然と戦い抜いた若き戦士たちの純粋さに胸が熱くなります。

しかし、平和ならばもっと別の人生があったはずだと戦争の痛ましさを考えさせられます。

ちょうど今週NHKの朝の連続テレビ小説「エール」で戦争の現実が描かれています。

どうして戦争を起こしてしまったかを冷静に客観的に見つめ続けることが必要です。

最良の教科書が『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』だと私は思います。

神奈川県下の有名私立の中高校生たちとの対話形式の授業をまとめたもので読みやすいです。

内容の方は重厚そのものです。その理由はデータや史料に基づいて実証的だからです。

中国との戦線が泥沼化してアメリカとの戦争に日本は突入してしまいました。

狂気に駆られて突っ込んだのではありません。戦力からして短期間ならば戦えると踏んだのです。

長期戦となってしまえば補給が出来ず苦戦になるのでその前に決着できないかと読んだのです。

結果的には初戦の大勝に酔ってしまい戦線を広げすぎ反撃を食らってしまいました。

日本人はこの歴史的経緯を忘れることがあってはなりません。過ちを繰り返してはなりません。

著者は東大教授の加藤陽子さん。日本学術会議の会員になることを拒否された方です。

私はこれだけの歴史学者を排除する判断基準はどこにあるのか不思議でなりません。

加藤さんの著書は、歴史を”総合的””ふかん的”に見る眼を養うための必読文献だと思います。

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』が入門書です。菅総理に読んでもらいたいです。

 

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