体制維新ならず

平時に政治体制の大変革を断行することがいかに難しいかを再び示しました。

大阪都構想をめぐる住民投票で反対派が多数を占め都構想は消滅に危機に陥りました。

2015年がおよそ1万票差です。今回は1万7千票でした。いずれも大接戦です。

投票率は、前回66.83、今回62.35。コロナもあって下がったとはいえ関心は高いです。

出口調査のNHK報道を見ますと公明党と共産党支持層の動向が注目されます。

公明党は今回支持に回ったとされます。しかし公明党支持層の賛否は拮抗してます。

組織力を誇る公明党の支持が二分されるということは浸透していないということです。

一方、反対派の方で組織力が最も強いのは共産党です。90%半ばが反対です。

大阪市では、公明党と共産党の支持率は、6%と5%と並んでますので影響は大きいです。

支持政党別で最も大きいのが支持政党なし層で31%、次いで自民党支持層で25%です。

半分以上を占めるこの大きな塊の層の態度がいずれも反対の方が多数を占めました。

大阪で絶大な人気を誇る維新ですがその支持率は27%です。維新が一丸となっても届きません。

前回より賛成は、19015票減り、反対は、12619票減りました。

投票率が下がった影響といえます。但しその影響は、賛成派に厳しく出ました。

大阪都構想は、府と市を一体化して統治機能を一元化することで二重行政をなくすのが目玉です。

全国各地で道府県と大都市との間での政策の整合性が取れずに関係がぎくしゃくしています。

この関係を一気に打ち破る荒業が都構想でした。私は根本治療だと思います。

副作用があります。大阪市が解体されることです。慣れ親しんできた「市」の喪失は大きいです。

大阪の場合は維新が第一党です。府知事は人気の吉村知事、市長は、代表の松井市長です。

強力なコンビが府と市との連携をとってきたことが皮肉なことにあだとなりました。

大阪では府と市の仲たがいはありません。二重行政を着々と解消する原動力となりました。

大阪市を解体する根本治療まで行う必要はないのではという意見につながる可能性があります。

この揺らぎが賛成の勢いを削ぐ心理的作用を与えたのではないかと見ています。

大阪都構想は陽の目を見ないかもしれません。瀬戸際まで追い込まれました。

日本の47都道府県体制に強烈な一石を投じる可能性を秘めていただけに影響は大きいです。

政府が主導して音頭取りをしない限り大胆な体制変革への動きは困難となりました。

政局への影響も必至です。維新は菅総理の政策支持の言動を繰り返していました。

自民党外における熱烈な応援団のごとくでした。この一角の勢いに陰りが出るのです。

菅総理は代表質問の答弁においては大阪都構想には極めて慎重な言い回しでした。

しかし、大阪都構想の住民投票の敗北を受けて内心は穏やかではないと想像します。

今日から国会は予算委員会の質疑です。菅総理の心理を読み解く手がかりがあるかもしれません。