新型コロナウィルス対応の政治学64~辻元清美さんという戦士~
昨日の衆議院予算委員会で凄みを見せたのは立憲民主党の辻元清美さんでした。
質問の冒頭、いきなり「菅総理と私は当選同期です。」と立ち位置を語ってました。
怯むどころか心理的に有利に立っている気配がテレビ画面から伺えました。
当選同期ということで交流も激しい国会論戦も幾度となくあったことは間違いありません。
辻元さんには、菅総理の人間性に対し、ある種の確信があるのではないかと思えてなりません。
自分の方がまっとうだという思いが辻元さんの立ち振る舞いを支えているように見えました。
日本学術会議の人事をめぐるやり取りで辻元さんは自民党の先輩方の名を挙げました。
「梶山静六先生、後藤田正晴先生、野中広務先生だったら人事を止めたのではないですか」
かつての自民党には懐の深さがありました。その観点に立って突いたのでした。
私も見方は一緒です。人事でいきなり首を切るようなやり方はさせなかったと思います。
菅総理はこの質問に対し答えませんでした。心には響いたと想像します。
辻元さんは菅総理のかねてよりの持論、世襲議員問題についても痛いところを突きました。
前例踏襲の打破とかいうのであれば菅総理は世襲議員の弊害除去に取り組んだらいかがかと。
菅内閣には世襲議員が並んでいるではないですかと平然と言い放ったのです。
辻元さんは政策秘書の給与の流用疑惑で国会議員の職を辞した苦い経験もあります。
そこから小選挙区で這い上がって今日の立場を得ています。並外れたど根性の持ち主です。
辻元さんの姿を見ていると西郷隆盛の言葉「幾たびか辛酸を得て初めて志堅し」を思い出します。
男性の国会議員たちがどんどんやわになっていくのをしり目に存在が光ってました。
全く原稿を見ません。全て自分の言葉で語ってます。この芸が出来なければ通用しません。
6人を任命拒否した経緯は杉田官房副長官からであることを菅総理から引き出しました。
杉田官房副長官は、元警察官僚で79歳、内閣人事局長も兼務してます。
日本学術会議の任命拒否のカギを握る人物です。辻元さんのド迫力が名前を引き出しました。
立憲民主党としては参考人招致の根拠を菅総理の答弁から得た格好となりました。
裏方で仕切り役を果たしてきた人物は陽の光を浴びる表舞台に立つと意外にもろいです。
杉田副長官も裏方にいたかららつ腕を振るえた可能性は高いと思います。
国会という表舞台でそのまま力量が発揮できるかどうかは全く未知数です。
杉田副長官の参考人招致を実現できるかどうかが日本学術会議問題の勝負の分岐点となりました。
昨日の予算委員会終了後の菅総理が野党の理事たちにあいさつに回っている姿が映ってました。
最初に辻元さんの方へむかい軽く会釈していました。辻元さんは無表情でした。
菅総理が予算委員会終了後常にこうした行動をとっているかどうかは不明です。
私には質疑でいささか押し込められたことの照れ隠しの気持ちが隠されているように見えました。