2度目の映画「東京裁判」鑑賞
東京裁判と聞いてこれは重大事件だとピンと来る人の数はどんどん減っていることと思います。
戦争が終了して75年ですので止む得ないと捉えてはならないです。
なぜ日本は悲惨極まりない敗北を喫したのか常に問い直す必要があります。
格好の題材が東京裁判です。正式名称は極東国際軍事裁判。勝者により敗戦国日本が裁かれました。
1931年の満州事変で日本と中国は対立を深め1937年の盧溝橋事件で戦争状態へと突入しました。
日本はヒトラーのドイツ、ムッソリーニのイタリアと同盟を結びました。
アメリカ、イギリス、フランスの連合国との世界大戦へと発展しました。
東京裁判は、アメリカなどの連合国が日本の国策そのものを裁いたのです。
日本の敗戦を考えるうえでこれ以上の教材はありません。全ての日本人への問いです。
「東京裁判」は、小林正樹監督によって製作され1983年に公開されました。
監督補佐、脚本を務めたのが小田原の報徳博物館の館長の小笠原清さんです。
昨年デジタル版が完成しました。私は昨年1月一般公開前の試写会で鑑賞させていただきました。
4時間37分のドキュメンタリー映画です。途中休憩が入るとはいえ座るのだけでも難行です。
7日の土曜日の午後報徳博物館で特別鑑賞会が開かれました。参加しました。
午後1時から始まり映像の具合が悪く中断したこともあり終了したのは6時半でした。
長丁場でした。しかし、鑑賞後の感想は、まだ見足りないというものでした。
日本は国策を誤り全国民並びにアジア諸国民に多大な犠牲を強いました。
戦場となった中国などの近隣アジア諸国民からすれば侵略以外の何物でもありません。
勝者が敗者を裁くことの不当性は東京裁判が開廷される前から指摘されてました。
インドのパール判事は、裁判自体の不当性を少数意見として述べています。
しかし、日本の行った行為自体を免罪にしているのではありません。
東京裁判では、日本を戦争へと導いた東条英機元首相ら7人が絞首刑となりました。
死刑執行は、1948年12月23日です。当時の皇太子、平成天皇の誕生日です。
あえてこの日を選んだと映画ではコメントが流れていました。軍国主義の終わりを告げたのです。
映画では東京裁判のメインテーマが繰り返し法廷での映像とともに解説されていました。
昭和天皇は、戦争犯罪者ではないことを示すための儀式だった要素があるのです。
アメリカの占領政策によるものです。天皇の戦争責任を問わずに済まそうとしたのです。
天皇を裁判にかけ処罰しろとの意見は根強くありました。アメリカはこの動きに蓋をしました。
日本国民の天皇への敬愛の心情を占領政策遂行に活かそうとしたのです。
天皇の戦争責任が問われなかったことは戦争責任という問題自体をあいまいにしました。
今日に至るまで日本では戦争責任問題が明確に決着していない要因となっています。
戦争の歴史の核心がぼやけているのです。胸に刻んで置く必要があります。