新型コロナウィルス対応の政治学66~自助と公助~

菅総理がアメリカの新大統領になるバイデン氏と電話会談し尖閣が話題になりました。

バイデン氏が尖閣諸島を日米安保条約の対象とすると述べたと発表されました。

日米で共同対処するとの意思の表明です。大統領正式就任前に機先を制した形です。

領有を主張し公船による領海侵犯を継続している中国にとってはほほを叩かれた気分でしょう。

猛反発の姿勢を継続することは確実です。領海侵犯も増加するものと思われます。

バイデン氏の意思表示を公開したことに対する日本国民の反応に懸念があります。

アメリカが守ってくれるのだから一安心だという間違った認識がまん延しないか気がかりです。

尖閣諸島は日本の領土と主張しているのですから日本が一義的に防衛するのは当然のことです。

日本としての基本中の基本を怠っていてアメリカに守ってもらうのは余りに虫が良すぎます。

万一中国との有事が発生してもアメリカ軍が矢面に立つなんてことはあり得ません。

限定的で小規模の段階は当然のこと自衛隊が前面に立ち対処するのが道理です。

中国側の出方をどのように読み対処方法をどう練り上げているかは極秘事項でしょう。

アメリカ軍との共同作戦が可能だということは日本の尖閣防衛作戦の実効性を格段に高めます。

後ろにアメリカがついているということによる抑止効果が絶大であるからです。

しかし日本の領土は日本が守る自助が基本です。間違ってはいけません。

NHKのBSスペシャルで劇作家の井上ひさしさんの番組を放送してました。

井上さんが憧れてやまないイタリアのボローニアを訪問する紀行番組でした。

30万人余りのこの都市は世界最古の大学があり、文化や芸術によるまちづくりで名をはせてます。

第2次世界大戦中はイタリアのファシスト政権に反旗を翻しナチスドイツにも抵抗しました。

市民が武器を持ち幾多の犠牲者を出しました。犠牲者は写真付きで今も慰霊されています。

劇作家である井上さんが文化芸術のまちづくりに関心が深いのは当然です。

井上さんは共産党シンパであることでも知られています。その観点から質問してました。

文化芸術を守るため国家や行政の支援、すなわち公助の大切さを関係者に問うていました。

関係者の答えは明確でした。公助より大切なものがあるという一点でした。

市民が力を合わせボローニアの文化芸術を守るという意思だというのです。

ボローニアの自助がまず基本なのです。日本共産党が主張する公助はその次に来るのです。

共産党シンパの井上さんが理解したかどうかは不明ですがこのひとことが番組の肝だと思います。

公助は大切ではあっても前面に出して市民の活動の上に覆いかぶさるものではありません。

公助ばかりを強調することは自立心を損ない支配する側の権力を増す危険性があります。

旧ソビエトのスターリンに代表される恐怖の独裁の亡霊を甦らせてはなりません。

菅政権が足跡を残したい願望があるのならば自助を基本とした政治哲学の全体像を示すべきです。