尖閣問題に戦略的対応を

日中間の最大の懸案として尖閣諸島問題が再びクローズアップされています。

尖閣に乗り込めと勇ましい雄たけびを上げても一時的な気休めです。戦略的対応が不可欠です。

中国の習近平政権時代になり国家戦略が完全に転換したことを認識することがまず必要です。

偉大なる中国の復権路線の延長線上に尖閣諸島の領有があり単なる領土問題ではありません。

周辺海域で資源の埋蔵が考えられるという経済的利害を超えて中国は尖閣領有を目指しています。

太平洋地域においてもアメリカとの覇権を争う強大な国家となるために尖閣が必要と見るべきです。

中国の海洋進出の入り口にあたる尖閣諸島を自己のものとすることは太平洋進出の序章です。

習近平政権は2049年の中華人民共和国成立100周年が大きな節目になるとにらんでます。

100周年を目標に尖閣領有を目指し着々と布石を打っているのではないでしょうか。

尖閣諸島で日の丸を掲げて実効支配をしていることを強調する程度では対応できません。

今からおよそ30年間が勝負です。日中両国の我慢のし合いになります。

中国が国家戦略を転換して尖閣に迫ってきているのですから日本も強固な長期戦略が必要です。

私は何度も申し上げているように政経分離を原則としてしたたかに対処するべきだと考えます。

そのためには国と沖縄県との統治体制を整えることが早急に進めるべき戦略だと思います。

沖縄に存在する国の出先機関と沖縄の県庁を合体して強力な地方政府を樹立することです。

かつての琉球政府のような機関を想定します。国の権限を大胆に委譲します。

思い切った経済振興政策や少子高齢化社会へモデル的対応政策がとれるようにするためです。

但し外交や安全保障に関わる事柄は国家の専権事項として明確な分離が必要です。

強力な地方政府と国による外交・安全保障の展開の2本柱で中国の野望を防ぐのです。

こうした体制をとることで地方政府主導で台湾との経済交流の強化が図れます。

国主導では中国側の反発が強いでしょうが地方政府主導であればかわせます。

普天間基地の名護市辺野古への移設は琉球政府の樹立論議と同時進行で論議すべきです。

新たな体制ができれば当然知事選挙が行われます。最大の争点のひとつとなるでしょう。

2007年4月から3年間継続された地方分権改革推進委員会の中で沖縄問題は論議されました。

本土とは異なる体制の中で沖縄振興を図る必要があると問題提起されました。

菅総理は当時総務大臣でこの間の事情に精通していますのでやる気になれば事態を動かせます。

当時は尖閣情勢は今ほど緊張感はありませんでしたので経済振興が主に念頭に置かれてました。

現在はこれに加えて安全保障が絡みます。より重要度は増しています。

同盟国アメリカとの関係強化も大切ですが日本としてやるべきことをやるのがより大切です。

日本として沖縄の地方体制を強化し中国の尖閣奪取を防ぐことに注力すべきだと思います。