道義国家論2

仮に西洋発の価値であっても普遍的だとされるものを尊重することは東洋の価値観とも合致します。

逆に無視して独りよがりな主張を続けることの方が東洋伝統の王道、すなわち道義に反します。

共産党の独裁体制を続けている中国が香港の民主化運動に対する弾圧姿勢を強めています。

香港の民主活動家として著名な周庭さんら3人に実刑判決を下し収監しました。

加藤官房長官は、こうした香港情勢に重大な懸念を強めていると記者会見で述べました。

立民の枝野代表、共産党の志位委員長、国民の玉木代表は民主化弾圧だと述べました。

政府のコメントが腰が引けているのと自民党の二階幹事長のコメントがないのが気がかりです。

公明党もです。二階幹事長も公明党も中国とのかかわりが深く明言を避けたのだと推測してます。

東洋に伝統的な王道、道義を大切にする政治は、本来ならば保守の自民党が高らかに宣言すべきです。

東洋政治思想の発祥の地が王道から反する政治をしている現状を容認してはなりません。

対中外交や経済関係を気にするあまり腰が定まらない反応をしていると付け込まれます。

菅総理は価値観を共有している国々との連携を盛んに強調しています。

そうであるのならばアメリカやイギリスなどと連携してアピールを先導する役割を果たすべきです。

台湾の蔡英文総統は台湾は香港人を民主主義を応援し続けるとフェイスブックで声明を発しました。

台湾海峡を隔てて大国中国の圧力にさらされながら敢然と台湾の政治姿勢を打ち出しています。

今年7月に死去した台湾民主化のシンボル、李登輝元総統以来の反骨が根付いています。

台湾に東洋の王道政治を基礎とする道義政治が脈々と息づいていると感じます。

菅政権が弱腰に見える反応しか示せないのは親中派の二階幹事長の存在だけが理由とは限りません。

菅政権の体質に問題があるのです。正々堂々と道義を重んじる政治を展開していないからです。

日本学術会議の会員人事で政府の意向に沿わない6人を闇討ちするかのように任命拒否しました。

道義に反する政治の極致です。裏街道の弾圧は姑息としか言いようがありません。

こうした姿勢では香港の民主化弾圧に対する中国政府の対応を批判したくても後ろめたいでしょう。

日本が国際社会で名誉ある地位を占めたいならば民主化に対する弾圧は断固抗議すべきです。

特に経済関係を気にしておっかなびっくりな姿勢しか示せないとしたら哀れです。

敢然と中国に言うべきことは言う台湾と真逆な国家との印象を与えます。

中国による香港の民主化弾圧に対する対応は日本が道義国家たるか否かの試金石です。

西洋由来の政治的自由と民主主義を守るか否かだけの観点から論じてはなりません。

小国であっても大国に堂々と物申す姿勢は道義を重視する政治そのものです。

日本は道義国家とはいかなる道を歩むべきかを小国台湾に学び実践すべきです。

道義を大切にする東アジアの国々との国家連携という新たな地平が拓けます。

 

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