ユーミンとサヘル・ローズさん
ユーミンこと松任谷由実さんと言えば日本の音楽界に君臨する存在のひとりです。
先週土曜日の晩松任谷さんがNHK深夜の歌番組SONGSに出演していました。
松任谷さんの口から「ダサい」という言葉が発せられたのがひどく印象に残りました。
松任谷さんは東京八王子の老舗呉服店のお嬢様です。いなか者であることを自覚してました。
中学時代から流行の最先端の地、東京・六本木に通ったと番組で語ってました。
一流のミュージシャンが通うレストランでピアノを弾き雰囲気を吸収したということです。
どん欲さが18歳のデビューにつながり都会的センスあふれる音楽へと変わっていきました。
日本の音楽界にすい星のように登場してから間もなく半世紀となります。
松任谷さんは、依然としてダサいかダサくないかにこだわっています。
自分が発する言葉がダサくないか神経質でした。違和感を覚えるほどでした。
ユーミンのSONGSと同じ日の午後NHK教育テレビで「こころの時代」が放送されました。
イラン出身の女優、サヘル・ローズさんを追いかけた「砂浜に咲く薔薇のように」という番組でした。
サヘルさんは、1985年生まれ、イランイラク戦争の空襲で救出された孤児です。
救出された時の様子が尋常ではありません。土の中から小さな手だけが出ていて発見されました。
助けたのはのちに養母となる方で当時は大学生のボランティアでした。
この方はイラン王族とつながる名家の出身で全てを投げ打ってサヘルさんを子供にしました。
縁あって日本に渡ってきたサヘルさんとの暮らしは体験者でないと語れない壮絶さです。
公園でのホームレス暮らし。水で飢えをしのぐ。日本の敗戦直後の焼け跡闇市時代です。
スーパーの試食を回っておなかを満たしたこともあると話していました。
サヘルさんは園芸高校に入りましたが園芸高校だと栽培した野菜をもらえるからでした。
高校時代の恩師が背中を押しました。自分らしく生きなさいと。サヘルさんは変身しました。
オーディションを受け女優となり舞台や様々なテレビ番組に出演しています。
サヘルさんが取り組んでいるのは自分と同じ境遇の孤児たちを支援することです。
日本国内だけでなくアジアの貧困にあえぐ国々、生まれ故郷の中東にも出向いています。
意外なことにサヘルさんは援助するはずの子供たちやお母さん方から逆に勇気をもらいます。
厳しい環境にある方々がサヘルさんにもっと頑張ってと励ましてくれるのです。
涙するサヘルさんの姿を見てダサいかダサくないかの世界とは異次元の世界を感じました。
どうみられるのかなんてことを超越している空間を共有する人々の神々しさでした。
サヘルさんは孤児から世界に名を轟かせたココ・シャネルの人生に喚起されたということです。
シャネルには、第二次大戦中ナチスドイツに協力したという暗い部分もあります。
そこだけは学ばずにシャネルのように断じてへこたれない強い意思で活躍して欲しいです。