新型コロナウィルス対応の政治学68~菅政治の限界露呈か~
菅総理は、らつ腕の横浜市議会議員として横浜市ににらみを効かせました。
市議会議員当時に菅事務所を訪問したことがあります。陳情客が列をなしてました。
衆議院議員に転じてからは官房長官に上り詰めてらつ腕に磨きをかけて剛腕となりました。
安倍前政権のもとで7年8か月もの長期にわたりその座に座り続けたのには理由があると思います。
政治家人生のスタートが横浜の大物代議士小此木彦三郎さんの秘書だったことが大きいと思います。
小此木さんという親分のもとで能力を発揮する立場に徹して実力を蓄えてきたと思います。
親分に逆らうことはありえません。自己主張は頑として控えなければなりません。
この経験が安倍前総理のもとで各省庁に怖れられる番頭として腕を振るえた要因だと思います。
菅総理が秘書出身ではなかったならば隠忍自重を続けられたかどうか疑問です。
政治家の中にはいつか俺がトップの座を射止めるとの野望を内に秘めている猛者が多いでしょう。
その野心は隠そうとしても表ににじみ出ます。トップは警戒し遠ざけよとします。
秘書出身の菅総理はこの辺りのトップの深層心理を十二分に読み込んで立ち振る舞ったはずです。
安倍前総理だけには絶対に逆らうことはしないという忠誠心を随所に見せたと推測します。
忠誠心とはごますりとは限りません。泥をかぶる仕事を率先しトップに花を持たせることです。
菅総理の得意技です。裏仕事に縁のない安倍前総理にとって不可欠の存在だったと思います。
しかし今度は自身が裏仕事からスポットライトを浴びる表仕事に反転したのです。
これまでは親分というか虎の威を借りて狼以上の存在として重きをなしてきました。
今度は、自分が虎にならなければなりません。突如の変身は容易ではありません。
菅総理は、携帯電話の料金値下げや不妊治療支援などを先行させようとしました。
国民生活に密着な政策課題を積み上げ虎としてのカリスマ性を持とうとしたと思います。
菅総理のそうした目論みを新型コロナが一気に吹き飛ばそうとしています。
感染拡大が止まりません。医療崩壊寸前で政府の強い政策を求める声が強まってます。
菅総理のコロナ対策はアクセルとブレーキを同時に吹かしてコントロールする綱渡り策です。
ワクチンや抗ウィルス薬といった強力な武器がありませんので感染は広がってしまいます。
感染拡大は、織り込み済みとは思いますがその想定を超えて広がっているのが現状だと思います。
今、菅総理がなすべきことは官僚が用意した紙を下を向き読むことではありません。
前を向いて自分の言葉でテレビを通じて国民に強く呼びかけることしかほかに方法はありません。
緊急事態ですので担当大臣に任せて報告を受けるというスタイルでは時間が足りません。
総理自ら前面に出て呼びかけて行動制限を迅速果敢に要請する時期が刻々と迫っています。
菅総理が逡巡するとしたら自ら虎となった体験のなさが影を落としていると思わざるを得ません。