カジノを含む統合型リゾート施設の行方
政府がカジノを含むIR=統合型リゾート施設の基本方針を決めました。
来年10月から翌年の4月までに提案募集となりました。全国3か所程度は変わりません。
横浜市が誘致に名乗りを上げていることはご承知の通りです。反対運動も可発です。
ブログで何度も紹介したように私は神奈川大学の政策過程論でカジノ問題を取り上げました。
前期講義全てカジノ問題に集中し賛成反対双方の立場からじっくりと意見を聞きました。
講義が完全リモートになったのが逆に功を奏しインタビューがし易かったです。
学生は賛成の意見の方が多数を占めたことは既にブログで驚きを持って書き込みました。
こうした学生の意見を受けてカジノ問題の政策過程にいっそう興味関心が湧きました。
どのように賛否両論の意見を収斂させていくのかそのプロセスが重要だと思います。
一方的に押し切るのは論外ですし、棒を飲んだように最初から断固反対では議論になりません。
鋭く意見が対立する政策課題について少しでも納得が得られるよう努めるべきです。
日本の場合、双方が冷静さを失い感情的な対立を招いてしまい禍根を残すことが多いです。
カジノ施設の誘致が横浜市のまちづくりに意義あるかどうかを根拠を持って議論して欲しいです。
最初から立場を固定して一方的に言い合うだけでは建設的な議論は期待できません。
20日の日曜日に横浜市がリモートでパネルディスカッションを開催しました。
市民からの疑念に応えかつ冷静な議論を促すために企画したのだと推測します。
カジノのいわば先進国であるアメリカとシンガポールの医療関係者の特別講演がありました。
その後日本の医療や治安の専門家が入ってパネルディスカッションを行うかたちでした。
午後1時から午後5時近くまでの長丁場でした。集中力を切らさずに聞くのは困難でした。
時間が長いだけでなく内容面も想定の範囲を全く超えていなかったのも原因です。
横浜市として述べて欲しい内容を専門家を集めて一方的に語っていただけです。
それぞれの専門家は根拠を示して説得力ある議論を展開していたことは認めます。
シンガポールの事例などを参考に依存症や治安の悪化への備えをとっていることは理解します。
しかし、推進派の意見だけを聞いただけでは判断することはできません。
反対する立場の専門家との間で冷静な議論を行うことから納得が得られるのです。
企画の立て方に大いに疑問を持ちました。反対の意見を最初から排除しているのです。
これでは一方的なプロパガンダだとやゆされても致し方ないのではないでしょうか。
横浜市は推進することに自信を持っているのであればもっと正々堂々と受けて立つべきです。
賛否両論の専門家の根拠に基づいた質の高い冷静な議論は感情的対立の中和剤です。
そうした場の提供こそが横浜市の役割だと思うのですが一方の意見のみの紹介でした。
こうしたやり方では賛否両論の激突という現状の打開にはつながりません。残念です。