新型コロナウィルス対応の政治学72~政権の危機~

2020年の日本は、この国が危機に脆いことを余すところなく晒したと思います。

新型コロナのパンデミックが日本の現実を見せてくれるスクリーンの役目となりました。

そもそも日本は、人口減少、少子・高齢化という社会構造の大変革に直面しています。

1990年代初めのバブル経済崩壊以降長期にわたる経済停滞が続いています。

非正規雇用が激増し中流階層が多数との幻想は打ち破られ格差の拡大が社会問題となってます。

ここに新型コロナが襲い掛かりました。国家として一大危機との認識を持つべきでした。

そうはなりませんでした。指揮命令系統を決めれなかったところに表れてます。

国が対応の中心なのか都道府県なのかあいまいなまま事態は進行し対応がちぐはぐとなりました。

政府として対応策が見えないと思っていた矢先に突如全国の学校が閉鎖となりました。

隣国の台湾がいち早く指揮命令系統を一本化し水際作戦を徹底したのと好対照です。

クラスターという用語が飛び交いました。感染者の固まりで経路を追いかけるのが大変です。

自治体を窓口として手を打とうとしても迅速な対応ができません。住民との連絡手段が乏しいです。

急きょデジタル化の推進が叫ばれて菅内閣ではデジタル担当大臣が設けられました。

しかし表面的にデジタル化の推進を唱導したところで新型コロナには間に合いません。

また、デジタル化の推進は、国家全体の統治に関わります。慌ててはなりません。

新型コロナは、日本という国が危機に際し責任の所在が不明確なことを示しました。

1937年の日中戦争、1941年の日米開戦の時と同じではないかと思わざるを得ません。

責任の所在が不明確で戦略があいまい。日本という国の病理がまたもや顔を出しました。

その場しのぎの掛け声優先の対応です。事態はどんどん悪化し大みそかを迎えました。

75年前は惨たんたる敗戦で大日本帝国は滅びました。今度も危険水域に来ています。

依然として指揮命令系統がはっきりしませんのでずるずると行きます。

国と都道府県、互いに責任逃れしているようで強力な手段を打ち出せません。

このような状態が続けばオリンピック、パラリンピックの開催も危ぶまれます。

何がいけないのかは明確です。国家としての方針があいまいもことしていることです。

先の戦争で北に進むのか南に進むのかあいまいで結果的に泥沼化したのと同じです。

経済と感染拡大の阻止という矛盾する課題を同時進行で進めているところに真因があります。

強権で感染拡大を抑え込んでいる中国、巧みな英知で阻止している台湾。

この両国は経済も回復基調です。感染拡大阻止が経済回復をもたらすことを示唆してます。

中国のような強権発動は民主主義国では取れません。台湾方式が貴重な参照事例です。

指揮命令機能を一本化して感染拡大阻止を最優先とする方針転換ができるかです。

菅総理の決断が遅れれば感染拡大は止まりません。政権の存続が危機となります。

 

 

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