ピンチを胆力と言論で制する

ピンチはチャンスという言葉を特別の言葉としか考えられない政治家は、本物ではありません。

本物の政治家は、ピンチを待っているのです。ピンチを活用して政治を動かすのです。

日本は新型コロナの第3波で年末からピンチ中のピンチ、危機的状況に直面しています。

日本に本物の政治家がいればこの時ぞとばかりに獅子奮迅の行動をとるはずです。

小池都知事や首都圏の知事らが緊急事態宣言を政府に求める程度にとどまってます。

大阪府や北海道のイケメン知事の活躍が目立っていますが大暴れまではいきません。

ピンチになると狂っているかに見える言動を駆使してピンチを制御しようとする者が出てきます。

その結果、絶対的な権力を掌握をした人物がいます。言うまでもなくヒトラーです。

危機の分析がヒトラーに協力した政治学者のカールシュミットに代表されることは象徴的です。

シュミットは政治の本質は危機的状況に陥った時の政治家の決断にあると喝破しました。

平時の政治はいわばままごとでピンチの時にこそ政治の本質があからさまになるというのです。

ピンチとは政治家の決断をクローズアップさせるのです。積み上げの手続きではないのです。

シュミットはこうした観点からヒトラーの狂気の独裁を擁護していったのです。

これに対しピンチに直面しても狂気ではなく凄味で対抗した歴史的人物ががいます。

イギリスの首相ウィンストン・チャーチルです。ヒトラーの狂気に屈しませんでした。

イギリス国民を鼓舞しアメリカを引っ張り込んでナチスドイツを撃破しました。

アメリカの大統領を務めたリチャード・ニクソンは退任後『指導者とは』という著書を著してます。

著書の冒頭でチャーチルを取り上げ、彼の政治家としての特筆を端的に語ってます。

「戦争中太平洋の戦場にいた私はラジオで聴くチャーチルの声に酔った。」

自国の大統領のルーズベルトよりもイギリスのリーダーの声に喚起されたというのです。

ピンチになると民主主義国であってもその権力は極端に強化されます。

平時ならば口やかましく攻撃する論敵もピンチになれば口を控えるからです。

元々口先だけの小物政治家たちはそもそも言葉を発する勇気を持たないでしょう。

権力を一身に集めたチャーチルは言論を武器にヒトラーへの反転攻勢を開始したのです。

電撃作戦で一気にヨーロッパ大陸を席巻したヒトラーに屈しない胆力はとてつもありません。

チャーチルの伝統をジョンソン首相は引き継いでいるように私には見えます。

当初は自らも感染してしまい評価は芳しいものではありませんでした。しかし奮起しました。

新型コロナの再流行に際し国民に率直に語り掛けいち早くワクチン接種も始めました。

ピンチの時に紙を読む菅総理と対照的です。繰り出す手も違いました。

ワクチンができる前に経済振興策を優先しました。今日のピンチは、菅総理の責任です。

菅総理は、ジョンソン首相に学び国民に率直に語り掛けることから始めるべきです。