バイデン新政権4

昨日の国会論戦では、バイデン新大統領の誕生を受けて日本の外交・安全保障を問う論議はありませんでした。

新型コロナ対策などの補正予算の審議ですので止む得ません。本予算の審議の際の論戦を期待します。

日本を取り巻く外交・安全保障環境も新型コロナに負けず劣らず重大な局面を迎えています。

新型コロナが外交・安全保障面での日本の危機を深刻化させています。これまでの発想での対応は許されません。

日本はどうしてもアメリカとの関係がどうなるかを中心に置いて外交・安全保障を考える癖があります。

日本としてどう進路を切り拓くかではなくアメリカの意向がどうなのかを土台にして対応を考えます。

バイデン新政権が誕生するとバイデン大統領が日本に何を要求してくるかにすぐに目が行きがちです。

アメリカ軍基地をめぐる負担についてアメリア側が新たな要求をしてくるかどうかなどが関心事となります。

まるで経営者側と労働組合との労使交渉です。主導権を持っているのは常に経営者、すなわちアメリカです。

日本はアメリカの従属国家だと言われるゆえんです。国際情勢の激変のさなかに取るべき態度ではありません。

日本は日本としての外交・安全保障指針を確立しその基本に基づいてアメリカとの関係を築くべきです。

在日アメリカ軍基地をめぐる負担についても必要ならば日本側から負担増を言い出しても良いのではないでしょうか。

アメリカから要求があって拒否する姿勢を示して時間を稼ぎ適当なところで妥協するという発想は貧困すぎます。

そもそもアメリカ軍基地に対する負担の特例を「思いやり予算」と名付けること自体もはや時代遅れです。

日本とアメリカは対等な関係にあって必要な負担は日本はする、理屈が通らない負担はしないとの姿勢に転じるべきです。

新型コロナによって中国の存在感は、経済だけでなく外交・安全保障面でも高まる一方です。

日本にとって中国の強大化は、1853年の開国以来の近現代史において初めて経験する出来事です。

国内総生産が日本の3倍になんなんとする経済力を背景に超大国を目指す中国の長期戦略を侮ってはなりません。

遅れた国という思い込みを根底から排除して共産党一党独裁国家との向き合い方を考えないと手遅れとなります。

国会で大論議をしなければならないのですが日本はこうした国家戦略をめぐる議論が深まりません。

アメリカの言う通りにすればよいという従属国体質がいまだ染みついているからだと思います。

バイデン大統領というひよわさを漂わせているリベラル政権がアメリカに誕生したのはチャンスです。

日本として外交・全然保障戦略を確立し逆にアメリカに働きかける積極性を持つことが可能だからです。

特に尖閣諸島問題を抱える対中国関係は日本としての対処方針を明確化しアメリカとの関係を構築すべきです。

受け身でいるとリベラルなバイデン政権の国家戦略と日本の国益との間にそごが生じる危険性があるからです。