新型コロナウィルス対応の政治学79~河野太郎リスク~

新年早々アメリカの調査会社が今年の世界リスクのトップに挙げたのはなんとアメリカ大統領でした。

新型コロナのパンデミック、分断する社会、気候変動、米中対立の激化、中東と北朝鮮情勢の不透明さ。

アメリカ内外に山積する困難な諸課題にバイデン新大統領で乗り切れるのか疑念を投げかけました。

理由は、トランプ大統領と比較して力強さに欠ける点だと推測されます。指導力に問題ありということです。

一方わが日本の政治情勢は、菅政権が緊急事態宣言の発令に追い込まれた形です。不支持が増えてます。

緊急事態宣言を延長せざるを得ない状況下で与党幹部が銀座の高級クラブに出入りしたことが判明しました。

自民党幹部3人が離党、公明党幹部の方は議員辞職となりました。この議員は公明党の若きエースと目されていました。

魔が差したのでしょうか。かすかな気のゆるみが取り返しのつかないことになってしまいました。

国会で歯切れのよい質問を繰り出していた印象があります。地べたをもう一度這って出直して欲しいです。

次期首相に相応しい政治家は誰かを問う世論調査でトップに躍り出たのは河野行革大臣でした。

日経とテレビ東京の先月末の調査です。河野大臣25%、石破元幹事長16%、小泉環境大臣13%と続きます。

安倍前首相7%で菅総理は6%です。立民の枝野代表が5%ですので3人は横一線といったところです。

菅総理が民意からそっぽを向かれていることを示しています。俗な言い方をすれば人気の凋落です。

70%前後だった内閣支持率の急降下にも驚かされますが次期総理の対象からすでに消えています。

危機に瀕している菅総理が起死回生策として手を打ったのが次期総理候補ナンバーワンの河野大臣の抜擢です。

愁眉の急となっていて国民の期待が高まる一方のワクチン接種の担当大臣に就けたのです。

冒頭で紹介した調査会社がもしこの状況のリスク分析をしたとすれば菅政権の最大のリスクは河野大臣となると思います。

河野大臣の発信力の強烈さは自他共に許すところです。ワクチン担当大臣に発信力が必要かが問題です。

ほぼ国民全体を対象としてワクチンを短期間に2回接種するという前代未聞のプロジェクトの総責任者になるのです。

厚生労働省、総務省、防衛省、国土交通省など関係省庁は広く存在します。何と言っても実施するのは地方です。

都道府県に全国各地の市町村が一体となって取り組まなければ円滑なワクチン接種はできません。

突如として発信力の河野大臣を指名したところで手品のように順調に事が進むとは到底思えません。

本来ならば官房長官が黒子に徹し強力な指導力を発揮するのが筋です。横から担当大臣を就ける話ではないと思います。

目立つかどうかはどうでも良いのです。裏方の調整が任務です。一番の適任は菅総理が官房長官となることです。

菅内閣の最大の弱点は菅官房長官がいないことだと言われてきました。ワクチン対応でその弱点が出ました。