新型コロナウィルス対応の政治学81~ワクチン~
新型コロナの特別措置法の罰則規定がいざという時の使用する”伝家の宝刀”だとする意見があるようです。
そんな規制強化よりはるかに強力な手段があります。言うまでもなくワクチン接種です。
菅総理大臣の記者会見でも外国の報道機関に所属する記者から先進国中で最も遅い対応を責められてました。
イスラエルは対象者のうち3分の一ほどが第一回目の接種を終了したというのですから差は歴然です。
私の推測ですが日本の対応の遅れは実務の責任者たちにとっては自明のことだったと思います。
記者会見で政府の分科会の尾身会長は製薬会社の規模の格差については言及しました。
接種に至るまでの新たな医薬品を承認する行政上のプロセスの中身については触れませんでした。
日本はワクチンを始め新薬承認が慎重です。プラスの側面もあればマイナスもあります。
今回のように先を競って接種しようとの競争が起きた場合は全てがマイナスに作用します。
開発する主体である製薬会社は脆弱ですし行政上の承認には時間がかかるからです。
その結果の戦略が海外で開発されたワクチンの治験状況を見て安全なものを輸入しようということです。
海外で実験してもらって大丈夫なら輸入しようという他人のふんどしで相撲を取るやり方です。
日本のワクチン開発を取り巻く状況を見れば止む得ないと思いますが、もっと情報公開して欲しいです。
国会でも論議して国民の納得の上で政策を遂行して欲しいものです。隠ぺい体質が残念でなりません。
いよいよ今月中旬から一部の医療関係者に接種が始まり4月からは高齢者にも接種したいとしてます。
アメリカのファイザー社のワクチン分だけでも6000万人分です。いまだかつてない膨大な接種プロジェクトです。
ここからが日本のお家芸です。全国津々浦々に存在する地方自治体が主役となります。
国の計画や都道府県の指導があっても住民の直接向き合って接種を遂行するのは現場を任されている市区町村です。
地方自治体の首長さんたちの腕の見せ所です。全責任を背負って先頭に立ち接種計画を遂行して欲しいです。
前例のないことを行うのですから試行錯誤は当然出ます。こういった時には責任者が前面に出るべきです。
現場の担当者任せにしてしまうと何か異常事態が発生した時に決断できずに無駄な時間を過ごしてしまいます。
決めれる人、すなわち首長がワクチン接種対策本部の最高責任者となって陣頭指揮にあたるのが望ましいです。
基本的な対応方法はすでに厚生労働省から示されています。現場の状況に応じて応用するしかありません。
国や都道府県の指示を待つのではなく市区町村の英知を集めて頭の体操をしまくることが大切ではないでしょうか。
超低温でワクチンを保管する冷凍庫を設置したり短期間で2回の接種を求められたりてんてこ舞いだと思います。
そこをやり切るのが首長の腕の見せ所です。全員が対策本部長となって全身全霊をかけて取り組んで欲しいです。