森元総理発言の背後に潜む重大問題

森元総理は大風呂敷の方です。おおざっぱで細かいことにはさして気にかけないように見えます。

政治記者時代、森元総理が衆議委員義委員運営委員長だった時に数人の記者と一度会食したことがあります。

私は竹下派の担当記者でした。森元総理のライバルで同じ選挙区の奥田敬和さんの方の派閥でした。

私が自己紹介すると「君はあっちの方か」と笑いながら言われたことが印象に残ってます。

あっちとかこっちとかあけすけになかなか言わないものです。森元総理の性格が表れてます。

今の政治家の皆さんよく勉強していて官僚のような政治家が多いです。森元総理は真逆です。

政治家は大どころを示せば良いというスタイルです。良い方に出ることももちろんあります。

日本がラグビーで世界に全く歯が立たなかった頃にワールドカップの誘致をぶち上げたのは典型例です。

2019年の日本で開催されたワールドカップは大成功でした。言い出しっぺがいなければ実現しませんでした。

一方、わきが甘く本音をぽろぽろ出します。何度も失言をして自らの首を絞め総理の座も失いました。

今度の女性をめぐる発言は集大成とも言えそうです。覆水盆に返らずで口に出したらおしまいです。

オリ・パラ開催国の組織委員会のトップが女性差別発言していては大ブーイングは当然です。

オリンピックは多様性を讃える祭典でもありますので女性を排除するかのような発言は論外です。

森元総理の発言をよく読んでみると単純に女性差別をしているのではないことはすぐにわかります。

女性が話が長いと言っているのではありません。女性がメンバーに入ると会議が長くなると言ってます。

要は俺に逆らうような発言をするのはけしからんということの方が発言の本質だと思います。

もっと端的に言えば女のくせに俺に楯突きやがってけしからんということなのだと推測します。

森元総理の意のままにならないのが面白くなくて、そうした人物が女性だったということです。

その結果、女性を排除するかのような発言につながったと見た方が発言に沿っていると思います。

森元総理にとって自らの権威に逆らう輩はけしからん人物でしょうが変革を期待する立場から見れば逆です。

よくぞ正々堂々と言ってくれたということになります。そうした勇気ある発言の主は女性の方が多いとなります。

私は現在の日本社会の行き詰まりは男性中心で権威主義的な体質がもたらしていると見ています。

現状を打破するためには権威をものともせずに物言う勇気と行動力のある人材が不可欠です。

そうした人材は女性に多いです。男性は、権威を怖れ、立場や地位にこだわる傾向が強いです。

女性の方が平気でダメなものはダメと言い切ります。この力が変革の原動力となります。

しかし森元総理のように権威側にとっては自らを脅かす敵だということになってしまいます。

森元総理の今回の失言、奥が深いです。単純な女性差別ではなく日本の社会の在り方が問われています。