黒子なき菅政権の危うさ
菅政権が誕生して菅総理の地元神奈川県の地元紙、神奈川新聞に「菅の官邸」というコラムが連載されています。
副題は「たたき上げの政」で、書き手は特別編集委員の有吉敏記者です。名前の通り敏腕記者として鳴らしてます。
森元総理の女性に関するとんでも発言が出た翌週の月曜日、8日付のコラムで森発言を取り上げてました。
菅総理は森元総理を嫌っていたというのです。森元総理が総理在任中説明をしない態度に反感を持っていました。
森元総理が記者団に「なぜここにいる!きみら出とけ」と怒鳴ったことがあるとのことです。
この模様を知った当時の菅総理は「ひでえよな」と感想を漏らしたことが書かれていました。
有吉記者はこの回のコラムの最後に菅総理に「あんた出とけ!」と怒鳴って欲しいと書いてました。
森元総理がオリパラの組織委員会の会長を早く辞めて欲しいという願いを込めた援護射撃だと思いました。
有吉記者は菅総理とも相当に近しい関係にあるのでしょう。そうでなければこのようなコラムは任されません。
ひとりの記者としてだけではなく菅総理のブレーンの一人として菅総理の立ち振る舞いを書いているのだと思います。
この記事と関係があるかどうかは知りようがありませんが、8日の衆議院予算員会で菅総理は踏み込みました。
森元総理のとんでも発言は「国益に反する」と答えたというのです。きつい言葉を投げつけたと思いました。
元総理に対し現職の総理が「国益に反する」と発言したのは、言葉は丁寧でもののしりに近いと思いました。
有吉記者が菅総理に対し送ったエールの内容もこれに反応したかに見える菅総理の国会答弁、対応間違いです。
国内外から批判が高まっている時に森元総理を叩くコラムを書いても記者としては問題ありません。
しかしブレーンのやることではありません。ブレーンならばこういった時こそ相手の立場を守ることです。
いかに問題発言をしようとも森元総理にも元総理としてのプライドとオリパラのトップとしての自負があります。
叩いたところで反発が高まるだけです。世論の高まりで辞めざるを得なくなったとして怨念が残ります。
恨みを買うのを避けるのがブレーンの腕の見せ所です。叩くのではなく森元総理のプライドをくすぐるべきです。
森元総理の発言は日本の国家としての名誉を貶めてしまいました。まいた種は刈ってもらわなければなりません。
菅総理が果たすべき仕事は、批判する声に同調して森元総理の発言をけなすことではありません。
森元総理に頭を下げ日本国のためにここは泣いて欲しいと辞を低くして懇願することだと思います。
一番望ましいのは菅総理の分身的存在がいて菅総理本人ではなく分身が土下座してすがることです。
官房長官の仕事です。残念ながら加藤官房長官はそうした泥をかぶる仕事が出来そうにありません。
菅総理だけでなく菅政権にとって官房長官人事は誤りでした。黒子が務められない人物は無用の長物です。