島根県丸山知事の勇み足

島根県の丸山達也知事が聖火リレーの中止に言及し騒動となっています。皆さんはどう評価されますか。

自民党の元総務会長の竹下亘衆議院議員が「知事を呼んで注意する」と発言したことが火に油を注ぎました。

島根県は竹下登元総理の出身地で竹下王国です。私も政治記者時代竹下派担当でしたので事情は承知してます。

王国の現トップが竹下議員ということになりますので殿が知事を叱責したように聞こえてしまいました。

森元総理のトンデモ発言を連想された方もいるのではないでしょうか。今度も時代錯誤の発言でした。

しかし、竹下議員の発言が問題発言であるから丸山知事の発言は問題がないとは短絡はできません。

丸山知事は、聖火リレーを中止せざるを得ない理由がどこにあるのかは明確に説明して欲しいです。

島根県は全国的に見て新型コロナの感染者数が非常に少ないです。いち早く中止する理由は不明です。

丸山知事は東京都の対策が不十分であることを中止の理由に挙げてますがこれはお門違いです。

島根県として開催できない理由を説明しなければなりません。東京都に責任を被せるのは筋が通りません。

かつて鳥取県知事だった片山善博さんと東京都知事の石原慎太郎さんがホテル税をめぐって論争したことがあります。

地方から東京に行く宿泊者に課税するのは大都市の横暴だとかみつきました。地方の声の代弁でした。

丸山知事の発言は国民の多くがオリパラ開催を不安視していることを踏まえて行った可能性があります。

中止したほうが国家のためなのに言い出す人がいないので、あえて自分が発したという含みがあると見ます。

こちらも国民の声の代弁だというのでしょうが、ホテル税とオリパラとでは趣旨が異なります。

国家的大事業に対し突如として一抜けたと受け止められるやり方はいかがなものでしょうか。

開催を危ぶむ声が強まっているオリパラを取り巻く状況を更に厳しくする行為です。

組織委員会の会長交代騒ぎもあり組織委員会はもとより政府も東京都ももがいているさなかです。

溺れる者を救うのではなく更に叩くかのようです。県知事として軽はずみな行動だったのではないでしょうか。

東京都といえども同じ地方自治体です。まず、全国知事会で問題提起するなど穏当なやり方を取るべきです。

関係機関は、出来る限りの準備をしてオリパラ開催の準備をする方針を堅持してます。

それでも開催できるかどうかの見通しは明確ではありません。それほどの危機的状況です。

丸山知事の発言はひとりの知事の発言以上の波紋を呼んでしまいます。後ろから弾を撃つのは避けるべきです。

他の道府県知事もコロナ対策に追われ、苦しい財政事情の中で聖火リレーの協力をしようとしています。

財政事情が飛び切り苦しい島根県の実情は理解するものの結論を急がず軌道修正して欲しいです。

丸山知事発言は勇み足でした。しかし、オリパラを取り巻く厳しい実情を一段と鮮明にしたのは間違いありません。