大都市と地方との断絶について

島根県の丸山知事の発言を聞いて大都市と地方との間で断絶があると改めて思いました。

両者の隔たりは、日本の国づくりの重大問題とされ東京一極集中問題と総称されてきました。

新型コロナで溝はいっそう深まったと言えます。危機は弱い方の側にしわ寄せが行くからです。

弱者の側の恨みつらみが東京オリパラの聖火リレーへの参加の是非に転じて騒動になったと思います。

弱者の側も出費をして東京のためのオリパラを支援しなければいけないのだという感情のほとばしりです。

改善するための究極の一手は東京都知事に地方の苦しい実情を理解できる人が就くのがいちばんです。

ところがそう簡単には行きません。何度も地方の首長経験者が挑戦しましたが失敗に終わってます。

グローバル金融企業の副社長まで務め島根県出雲市長に転じた岩國哲人さんもそのひとりです。

絢爛たるキャリア、ふるさと出雲市長としての実績は十分でした。でも青島幸男さんに歯が立ちませんでした。

宮城県知事として大きな実績を上げた浅野史郎さんも石原慎太郎さんに挑みましたが惨敗しました。

直近では2015年に小池百合子さんと岩手県知事を務めた増田寛也さんが争いましたが同様の結果でした。

超巨大都市で勝ち抜くにはずば抜けた知名度が必須です。地方を熟知しているかどうかは後景に退きます。

岩國さんや浅野さんや増田さんタイプの東京都知事が誕生していれば知事としての行動が変わります。

首都東京の顔としてだけでなく全国の地方自治体少なくとも47都道府県の知事の代表としての意識を持ちます。

自らの背後には全国の地方自治体が就いているという意識を持つか否かは振る舞いに大きな差をもたらします。

新型コロナ対応をめぐっても東京のことだけでなく全国の地方都市のことも考慮して行動するでしょう。

少なくとも首都圏全体の状況を踏まえて首都圏全体のために動くスタイルをとると思います。

今回の小池都知事の新型コロナ対応を見てますとまずは東京最優先、東京ファーストでした。

昨年末からの第3波で状況が一段と苦しくなって初めて首都圏での統一的な対応となりました。

最初の段階から小池都知事がオールジャパンの知事を代表して振る舞い国と交渉していれば様相は異なりました。

全国の知事の後押しで東京都知事が国と真正面から向き合っていれば国の動きは迅速化したはずです。

小池都知事の脳裏には地方の実情はイメージが湧いてこないのだと思います。想像できないのです。

キャスターからの落下傘で政治家となりスポットライトを浴びてきましたので無理からぬところです。

増田さんが都知事選挙の勝利していれば全国の知事とともに行動するスタイルをとったと思います。

そうしていれば島根県の丸山知事のように突如として聖火リレー参加中止のような問題発言はなかったでしょう。

全国知事会で問題提起したはずです。丸山知事発言の背後には東京という大都市と地方との断絶が潜んでます。

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