中・長期の対中国戦略の練り直しが不可避
尖閣諸島海域に中国公船の出没が日常茶飯事となって久しいです。1日からは中国海警法が施行されました。
中国は海域を中国領海と見なしてますので日本の漁船や海上保安庁の船が侵略者となります。
中国側が必要と認めれば武器使用もできることになりましたので中国の圧力は増す一方です。
中国は尖閣問題で妥協する構えはみじんもありません。妥協は国家の威信に関わります。
最終目標年次をいつに定めているかは不明ですが尖閣の実効支配を取り戻す目標は降ろすことはありません。
習近平政権が掲げる偉大なる中国の復権路線は際立って強固だと見て日本は対応することが迫られてます。
国会論議でもしばしば取り上げられるようになりました。与野党問わず尖閣問題では意見が一致してます。
中国側の強硬姿勢に断固とした姿勢をとる必要があるという立場からの論議が続いています。
菅総理大臣の答弁の方が弱腰だと感じさせてしまいます。外務省の中国側への配慮があるのでしょう。
自民党の二階幹事長が新中国派の旗頭であるという事情も影響しているかもしれません。
国会のやり取りを聞いていて不安を感じる点があります。中・長期戦略が見えないことです。
中国が領海侵犯侵犯しているからアメリカと共同で尖閣を守るといった当面の対応に焦点が当たり過ぎです。
中国が偉大なる中国の復活を掲げ今世紀中葉までにアメリカと肩を並べる強国を目指しているのと大違いです。
その場しのぎの対応では中国にやられてしまいます。こちらも中・長期戦略を持たなければなりません。
私の町長としての最後の大きな事業として2010年11月の全国禹王サミットがありました。
中国の治水神禹王を祀る遺跡がある全国各地の自治体から郷土史関係者を集め大掛かりなイベントを行いました。
メインゲストとしてお招きしたのは中国社会科学院で近代日本史研究の第一人者の湯重南さんでした。
湯さんの最新の動きを伝える人民日報日本語版のニュースを目にしました。昨年12月30日付です。
日中戦争における日本軍の侵略を詳細に調査した資料集をまとめたという内容でした。
このニュースを見て中国側の深い意図を直感しました。中国は領土問題と歴史問題を絡めてくると思いました。
日本は中国をかつて侵略した国である。その日本は中国の領土である尖閣諸島を奪い取ったままである。
乱暴な理屈ですが中国国民のナショナリズムを喚起するには十分でしょう。中国側の深い意図を察すべきです。
沿岸警備に始まって軍事を含めた安全保障問題、歴史問題を絡めた国家の威信として尖閣問題があるのです。
単純な領土問題ではありません。日本側も中国の動きを踏まえ領土問題を超えて中国に対処すべきです。
中・長期の中国戦略の練り直しが喫緊の課題です。中国側が歴史問題を持ち出しても対抗しなければなりません。
中国という厄介極まりない国とどう向き合うのかこれから30年日本が生き抜くための最重要課題です。