中・長期の対中国戦略の練り直しが不可避(続)

『現代の理論』というマイナーですが読み応えのある硬派の雑誌があります。年4回発行です。

4月発行の春号はバイデン新大統領の誕生がテーマで様々な角度から論者が語る編集となってます。

私にも原稿依頼が来ました。元政治記者として自由自在に論じさせてもらうということで原稿を出しました。

「三つのない政策」を日本外交の基軸とすべきだという元政界の暴れん坊の亀井静香さんの持論を紹介しました。

三つの「ない」とは、「アメリカのポチにならない、中国の食い物にならない、ロシアに騙されない」です。

これほどわかりやすく単刀直入に外交指針を示した表現はほかにないと思ったから雑誌に書きました。

対中国政策は、ふたつめの「ない」である「食い物にされない」ことが基本となります。

中国は商売上手です。日本の長期経済停滞はビジネスチャンスに見えて仕方ないでしょう。

足元を見られ知らず知らずのうちに日本の土地や企業が中国資本の手に落ちているのはもはや現実です。

中国資本が、水源地である山林を買い漁っているなどという話もよく聞くようになりました。

こうした単純であるが深刻な問題が日中間の協議の対象になることはありません。不思議です。

アメリカに対抗しようかという超経済大国になりつつある中国がやりたい放題なのは放置できません。

水や水を育む山林は国家として存続するための貴重な資源です。日本として守ることが必須です。

タブー視しないで論議の俎上に挙げて行くことが大切です。国会の役目は大きいと思います。

外務省は中国の反応を気にして腰が引けているように見えます。政党の方が主導権をとって堂々と論じて欲しいです。

外務省が臆病になっている最たるテーマは台湾でしょう。ひとつの中国にがんじがらめで避けています。

1972年の日中国交正常化は中国共産党の一党独裁国家、中華人民共和国との間でなされました。

中国本土は1949年以来共産党の支配下ですが台湾は蒋介石の率いる国民党軍が逃げ込み別政府を樹立しました。

台湾は李登輝総統時代に民主化が進み自由と民主主義体制を堅持するようになったためその違いは一層鮮明です。

新型コロナ対応では強権国家の中国本土はいち早く強権により感染拡大を抑え込みました。

自由と民主主義を抱える各国が対応に手間取っている中で台湾は迅速果敢な対応で同じく感染拡大を防ぎました。

コロナ下にあって台湾は自由と民主主義国の中で希望の星と言って良い存在になっています。

しかし中国共産党は台湾は自国の不可分の一部だとしてWHO=世界保健機関への加入さえ認めていません。

情報の空白地帯を人為的に生じさせているようなものです。言語道断の行為と言って良いのではないでしょうか。

こうした状況に対し外務省は手をこまねているだけです。正々堂々と正論を述べて行くべきです。

外務省ができないならば政党が国会で論じて政府を突き上げれば良いのです。対応の見直し必要です。