中・長期の対中国戦略の練り直しが不可避(続2)

日本人の中に中国に戦争で負けたという意識があるのか心もとないです。完璧に負けてます。

1941年12月に日米開戦する前に1937年7月から日中戦争は始まってました。忘れてしまってます。

”先の大戦”という言い方は、太平洋戦争に照準を当ててしまっていて全体像が捉えにくいです。

日中戦争の最終的勝者は毛沢東率いる中国共産党でした。毛沢東の冷徹な軍事戦略には舌を巻きます。

「抗日遊撃戦争の戦略問題」という毛沢東の論文を読めば日本の末路を読み切っていたことがわかります。

中国の国土は広大で日本軍への抵抗を続ければ日本軍は疲弊することを知ってました。

蒋介石の国民党と国共合作によって抗日体制が整い正面の戦争は蒋介石軍、ゲリラ戦は毛沢東軍です。

どっちが被害が大きいかは自明です。日本が敗れた後農村に根を下ろした毛沢東軍が蒋介石軍を追い出しました。

この中国共産党のしたたかな強じんさを侮ってはいけません。正しく認識して対中戦略を組むべきです。

日米安保があるのでアメリカの後ろ盾があれば対抗できると考えるのはひどく安直です。

アメリカが尖閣諸島を安保条約の対象としても日本の領土を守るために血を流すとは考えられません。

1972年のニクソン大統領の電撃訪中を忘れてはなりません。アメリカははしごを外す国です。

中国に対抗したいのであれば日本国としてアメリカが足抜け出来ないような戦略を組まないといけません。

中国を敵視するのではなくアメリカとの間の融和を促す役目を日本は果たすべきだという考え方があります。

全くの幻想の産物だと思います。中国共産党の持つ本質にベールを被せてしまった見方です。

相手はしたたかな独裁集団です。日本の甘い考え方が流布されることは願ってもないことでしょう。

現在の中国が、偉大なる中国の復活を目指し行動しているという現実を直視しないのは許されません。

中・長期、少なくとも2050年までの戦略の立案が日本の独立と安全を守るため不可避である理由です。

大前提があります。日中戦争を通じて中国人民に多大なる被害を与えたことを認識することです。

中国大陸で中国人民に対して行った侵略戦争の事実から目を逸らすのは日本の立場を著しく弱くします。

事実を認めたうえで戦後日本の平和国家としての歩み、自由と民主主義の尊重の事実を語るべきです。

1970年代後半中国が鄧小平時代となって改革開放の道を歩んだ後、経済協力の手を差しのべたのは日本です。

こうした一連の歩みに日本はもっと自信を持ち対中国に向き合うべきだと思えてなりません。

過去の歴史をあるがままに素直に見れば戦後日本の動きは中国に対し後ろめたさを持つ必要はありません。

尖閣諸島問題など先鋭化した課題だけに焦点を当てるのも間違いですが過去の過ちにこだわり過ぎるのも間違いです。

日本が今後30年の対中戦略を組み直せるかどうか日本の生命線です。担える政権の誕生が待ち望まれます。